連載:みよし街並み歴史散歩 その48
株式会社 菁文社
弊社が2007年(平成19年)に発刊した「みよし街並み歴史散歩(三次・十日市・八次・酒屋 編)から一コラムづつ連載します。
三次の再発見があるかもしれません。
なお、三次市は周辺町村との合併以後大きく変わりつつあります。発刊時期とのずれがあることはご了承ください。
この「みよし街並み歴史散歩」は、B6判の単行本です。お求めは小社 TEL(0824)62 3057 または 三次市内の書店へご注文ください。
【日光寺住居跡(県史跡)】 古人(いにしえびと)の文化に想いを馳せながら、花園遺跡から再び市道へ降りてなだらかな灌木の林を下って行きます。
50メートルも歩くと右側の林が途切れ、大きな池が視界に入ります。現代人が盛んにボールを池へ打ち込んでいました。ゴルフの練習場になっている成光(なるみつ)池です。
そのすぐ後の市道の左手山際に、日光寺住居跡があります。発掘された直後には、古代住居が再現されていましたが、ずいぶん前に焼失して今では鉄の柵に囲まれた窪みに雑草が一面に茂っています。傍らの石柱に「県史跡 日光寺住居跡」とあり、大きな説明板もあります。
成光池の成り立ちが定かでないので想像の域を出ませんが、もし古代から酒屋地区の雨水を集めてここに大きな水溜まりが出来ていたとしたら、1400年ばかり前の古代人も風光明媚な場所に住居を求めたものだと感心させられます。
―― 時は古墳時代の後期のある日のことでした。日当たりの良い南に面して、背後は灌木の防風林の斜面に、三棟の茅葺竪穴式住居が並び、子ども達は庭先の大池の渚(なぎさ)で水遊びに夢中です。住宅の出入り口から中をのぞいてみましょう。一辺が4メートルあまりの方形の室内は、棟から斜めに葺き降ろされた茅葺きの屋根は四本の太い柱に支えられ、切妻の棟木の下には煙穴が設けてあります。外の地面より0.4メートルばかり掘り下げられた床には一面に草筵(くさむしろ)が敷かれ、片隅には須恵器や土師器などの壺などが並んでいます。母親が中央の炉で猪(いのしし)の肉を焼く香ばしい匂いが流れてきます。壁際の竈(かまど)にはなにやら煮物の器がかかっています。
入り口のすぐ傍には大麻の繊維らしきものが山積みされ、側には土製の紡錘車(ぼうすいしゃ)に糸が巻き取られています。母親が仕事を止めて食事の支度に取り掛かったのでしょう。父親たちは知り合いの竪穴式新居の小屋造りにでも出かけたのでしょうか、辺りに姿がみえません。――
なんとものどかな光景が浮かんできます。
【成光池】は前にも述べたように、西酒屋と東酒屋の一部の雨水を、門田川を通じて受け入れる大きな池です。古代においてもその地勢は変わっていないと思われます。ただ池であったか沼地であったかは定かではありませんが、稲作技術が進むにつれて灌漑用水池としての機能を持つようになったに違いありません。この時代に成光池からあふれ出た水は、谷川(現在の北溝川)を伝って山裾の大川(現在の馬洗川で当時は山裾まで河原だったと推定されます)へ流れ込んでいたことでしょう。
【日光寺】 古代住居跡の傍の市道を少し下って、成光池の水が北溝川へ注ぐ水口の橋を渡り、今度は上り坂を50メートルも進むと、右側の小高い丘にあります。
金峯山修験本宗別格本山成道山日光寺(きんぷざんしゅげんほんしゅうべっかくほんざんなるみちさんにっこうじ)と称し、薬師如来を本尊とする寺院です。
中世に三吉氏の祈願所でしたが、福島氏の時代に寺領が没収されて、一時寺運が傾きました。浅野氏の治世になり長治が寺田を寄進して再興、三代長澄によって今の山号が付けられました。
昭和初期に再興、現住職は2代目です。境内は静寂を極め、本堂前には秋の大祭で行われる「大火渡り」の10メートル四方の祭場が鉄鎖で囲ってあります。その聖場を監視するかのように3体の仏像がにらみを利かしています。中央の像が役行者小角(えんのぎょうじゃおずぬ)で神変大菩薩。左右に従うのが前鬼(ぜんき)と後鬼(ごき)という弟子だといわれています。
境内の願掛け棚には近郷近在の信者たちの願い札がずらりと架けてあり、病気平癒から縁組・進学など、俗世のさまざまな願い事が小さな木札に託されています。また、1月3日、新春滝開きの水行三昧は、テレビでも放映されかなり有名です。かつては成光池から落ちる滝壺が水行の場でしたが、水量の減少に加えて水質の悪化で、現在は本堂横の人工滝で修行が行われています。
境内の一段高い場所に奥之院があり、いくつかの小祠が灌木の間に建ち並んでいます。
聖域を後にして再び市道へ出て、少し上がると頂上に至り、両脇にヒノキ林が大きく開き、前方眼下にマツダのテストコースが展開します。そして、その向こうには上原の町並みが望まれ、一気に現代社会の喧騒(けんそう)の中へと引き戻されます。
【写真 日光寺本堂】
◇ ◇ ◇
・・・つづく
基本情報
| 名称 | 株式会社 菁文社 |
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| フリガナ | 株式会社 菁文社 |
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| 住所 | 728-0023 三次市東酒屋町306-46 |
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| アクセス | 国道375号線三次工業団地口交差点より北へ850m |
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| 電話番号 | 0824-62-3057 |
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| ファックス番号 | 0824-62-5337 |
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| メールアドレス | geibigrf62-3057@seibunsha-f.com |
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| 営業時間 | 8:30~17:30 |
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| 定休日 | 土・日曜、祝日 |
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| 駐車場 | あり |
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