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三次の地域情報サイト「まいぷれ」三次市

連載:みよし街並み歴史散歩 その51

株式会社 菁文社

 弊社が2007年(平成19年)に発刊した「みよし街並み歴史散歩(三次・十日市・八次・酒屋 編)から一コラムづつ連載します。
三次の再発見があるかもしれません。
 なお、三次市は周辺町村との合併以後大きく変わりつつあります。発刊時期とのずれがあることはご了承ください。
  この「みよし街並み歴史散歩」は、B6判の単行本です。お求めは小社 TEL(0824)62 3057 または 三次市内の書店へご注文ください。

【酒屋高塚古墳(県史跡)】 北西の方向300メートルの小高い所に酒屋高塚古墳が見えます。昭和57年(1982)に周辺の環境整備事業として再度発掘調査され、古墳時代の中期末頃(約1500年前)に造られた古墳とわかりました。宅地造成によって墳丘の半分が早くから削り取られ、規模や形の詳しいことはわかりませんが、年寄りの言い伝えや調査の結果を総合すると、全長約46メートル、高さ7メートルの帆立貝式古墳(ほたてがいしきこふん)と推定されています。墳丘は盛土で2段に造られ、墳丘の崩落を防ぐため葺石(ふきいし)が鉢巻き状にめぐらされ、埴輪(はにわ)も出ています。
 二つの埋蔵施設は竪穴式石室(たてあなしきせきしつ)で、一方の石室から戦前に画文帯神獣鏡(がもんたいしんじゅうきょう)といわれる鏡が出ています(京都大学所蔵)。この鏡は中国製またはそのコピーとみられ、同形の鏡が九州から関東地方にかけての古墳から20数面見つかっています。このような鏡は畿内の王権から配られたと云われており、この古墳に葬られた者は大和政権と深い関係をもつ首長と思われます。

【長円寺】 酒屋高塚古墳を遠方に見ながら、酒河(さけがわ)小学校方向へ歩き、中国自動車道の下を通り抜けると、右側に長円寺があります。曹洞宗の古刹で、中世には三吉氏、江戸時代の初期には浅野長治がそれぞれ寺領を寄進しています。さらに、この寺には道元禅師(どうげんぜんじ/1200〜53)が中国から持ち帰ったと伝えられる〝虎剔杖(こてきじょう)〟があります。現在は無住で向江田町の無量寺がお世話をされています。

【坂根峠】 江戸時代、広島から出雲や石見地方へ赤名(あかな)峠を越えて行く街道を雲石街道(うんせきかいどう)といいました。藩が経営した道幅7尺(2.1メートル)の官道です。その街道が広島方面から三次へ入る最後の峠です。現在の西酒屋町を通っていました。「火打坂(ひうちざか)」ともいいます。ここでは十日市町側から登ります。
 片丘川に架かる坂根橋を渡ると地元で〝さぎのこさん〟の愛称で親しまれている鷺(さぎ)神社が小高い丘の上にあります。その西側から登り始めます。この辺りは植松地区です。少し登ると左側に地蔵さんと呼ばれている高さ150センチの石像物があります。この辺りは三次を出る人、入る人が旅の安全を祈って一時の休憩をとった処かも知れません。一里塚もこの辺りにありました。いま地元の人たちによって建てられた「雲石街道」の木柱がひっそりと立っています。さらにゆるやかな坂道を登って行くと、左の道端に「法界万霊(ほうかいばんれい)」と刻まれた石碑があり、峠との宗教的な関係か、あるいはこの先に江戸時代の罪人の処刑場があったことと関係があるのでしょうか。
 峠は、今では十日市町側から頂上まで大型車両も通行できるほど整備されていますが、頂上で中国自動車道に架かる高架橋を渡ると辺りは一変し、まさに当時の峠道の雰囲気になります。道の両側には樹木や山草がうっそうと茂り、ほとんど車の往来もありません。下りにさしかかると一旦は市道に出、再び旧道に入るとそのまま西酒屋町の船所地区に下り国道54号に出ます。
 一方、日本通運のトラックセンター辺りには、大正時代に建てられた酒河小学校がありました。現在は東方の丘の上に移っています。
 寛永9年(1632)、三次藩初代藩主として赴任した浅野長治(ながはる)一行も、この峠を越えて三次に入ったとあります。さらに、文化文政年間に郡代官や三次町奉行を勤め、儒学者でもあった頼杏坪(らいきょうへい)は広島から三次への途中、この坂根峠へさしかかって秋の気配を初めて感じ、短い漢詩を詠んでいます。その一部に、(現代語訳)

  火打坂を下りはじめて秋に出会った
  西風は静かに吹き落葉はもの悲しい



【写真 酒屋高塚古墳】

◇   ◇   ◇

・・・つづく

基本情報

名称株式会社 菁文社
フリガナ株式会社 菁文社
住所728-0023 三次市東酒屋町306-46
アクセス国道375号線三次工業団地口交差点より北へ850m
電話番号0824-62-3057
ファックス番号0824-62-5337
メールアドレスgeibigrf62-3057@seibunsha-f.com
営業時間8:30~17:30
定休日土・日曜、祝日
駐車場あり
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