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三次の地域情報サイト「まいぷれ」三次市

連載:みよし街並み歴史散歩 その27

株式会社 菁文社

 弊社が2007年(平成19年)に発刊した「みよし街並み歴史散歩(三次・十日市・八次・酒屋 編)から一コラムづつ連載します。
三次の再発見があるかもしれません。
 なお、三次市は周辺町村との合併以後大きく変わりつつあります。発刊時期とのずれがあることはご了承ください。
  この「みよし街並み歴史散歩」は、B6判の単行本です。お求めは小社 TEL(0824)62 3057 または 三次市内の書店へご注文ください。

  比熊山山麓の神社と寺院

 比熊(ひぐま)山の麓(ふもと)には、いくつかのお寺やお宮が集まっていて「寺社通り」といった感じがする界隈(かいわい)です。お寺やお宮を結ぶ小道を利用して、お参りを兼ねて散策すればいろいろな史跡が待っています。ここに紹介したお宮やお寺にお参りし、足を延ばして浅野長治(ながはる)の墓へ参り、尾関山を見物すればゆっくり歩いて半日はかかるでしょう。

【比熊山】 三次町の人びとが毎日見上げ親しんでいる山で、三次小学校の校歌にも「明け暮れ仰ぐは比熊山」とあります。中世領主三吉(みよし)氏は、鎌倉時代からずっと畠敷町の比叡尾山(ひえびやま)城を本拠(ほんきょ)にしていましたが、中世末期の天正19年(1591)比熊山へ移りました。しかし慶長5年(1600)の関ヶ原の戦いで大坂方について滅び、三次を去りました。山頂には千畳敷とよぶ本丸跡も残っています。比熊山はもと日隈山(ひくまやま)と書きましたが、比叡尾山から「比」の字をとり、山の形が熊が横たわっているようにみえるところから、比熊山と改めたということです。
 三吉氏が悲劇的な末路をたどったこともあり、この山は畏(おそ)れの目で見られていたようで、江戸時代の『稲生物怪録(いのうもののけろく)』はつぎのように〝比熊山伝説〟を述べています。
 「大木が生い茂げり、樵(きこり)が通っていた道も今は分らなくなっている。 片脇に三吉若狭守様の墓だと伝える古い塚があるが、塚のうしろに杉の大木があって梢(こずえ)は雲を突くばかりで、木のまわりは8抱えも9抱えもあつて、枝は地上にたれて塚を覆っている。この木に触れればたちまち祟(たた)りがあり、もののけが付くので、里人も天狗杉だといって恐れて近づくものはいない」
 稲生平太郎の妖怪退治物語も、少年平太郎が肝試しのために深夜に神聖視されていたこの山に登ったことが事のはじまりでした。

【太歳神社(ださいじんじゃ)】 比熊山の東麓にある三次町の氏神社で、人びとは親しみをこめて「太歳さん」とよんでいます。祭神は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)という女神で、内町にある祇園神社の祭神・須佐之男命(すさのうのみこと)の妻にあたる神様ですが、年に一度のお祭りの前夜にしか会えないという、いかにも庶民が創ったラブストーリーらしく好感がもてます。
 お宮の創建は古く、平安時代はじめの大同3年(808)までさかのぼります。市内のお宮では古い方で、中世から近世にかけては、この地方の支配者三吉氏、尾関氏、浅野氏が崇敬したお宮です。
 太歳さんといえば「輪くぐり」で有名です。6月の最後の土曜日の行事で、多くの町民が無病息災を願ってお参りし、三次地方ではこの日から浴衣(ゆかた)を着る風習があります。
 祭神木花開耶姫命については、つぎのような神話があります(『古事記』)。
 「姫は孕(はら)んだわが子を、夫から他人の子だと節操を疑われたので、その疑いを晴らすため、出入り口のない広さ八尋(やひろ)もある御殿を作り、その中にはいって内側から土を塗って塞(ふさ)いでしまった。いよいよお産をする時になると、この御殿に内から火を付けてその中で子どもを生んだ。」
 お宮の前を流れる西城川を少しさかのぼった対岸に「桧原(ひばら)」という集落がありますが、江戸時代の書物には「火原」とあり、右の伝説が生まれた地だとしています。
 またこの神話は、粘土で溶鉱炉を作って砂鉄と木炭を交互に入れて、3〜4日間昼夜燃やし続けて鉄を生産する鈩(たたら)製鉄とも関係がありそうな物語です。太歳神社の境内に祀られていた製鉄の神金屋子(かなやこ)神社(現在は本殿へ合祀)は、「各地の金屋子神社の総社的役割も果たしていた」(『広島県史・民俗編』)といいます。


・・・つづく

基本情報

名称株式会社 菁文社
フリガナ株式会社 菁文社
住所728-0023 三次市東酒屋町306-46
アクセス国道375号線三次工業団地口交差点より北へ850m
電話番号0824-62-3057
ファックス番号0824-62-5337
メールアドレスgeibigrf62-3057@seibunsha-f.com
営業時間8:30~17:30
定休日土・日曜、祝日
駐車場あり
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