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新連載:ふるさとの峠と街道 その7-①

株式会社 菁文社

「ふるさとの峠と街道」は、第1部 ふるさとの街道、第2部 ふるとさの峠 として2部構成でお届けします。
 第1部「ふるさとの峠」は、昭和54年(1979)5月から「げいびグラフ」誌上に“峠を語る”シリーズとして21回にわたって連載したものです。今では交通機関の多様化とこれに伴う土木技術の発達により大巾な改修がすすみ、峠は旧来の峠としての機能を失って、峠の存在すら忘れ去られています。
   このたび、あえて連載当時の記述に修正を加えることなく取材当時の内容を再掲し峠を歴史の証として伝えることにしました。



         【妻坂峠(つまさかとうげ/高田郡甲田町)その7-①】
     ― 甦える峠 ―

 日曜日の午後、携帯ラジオのボリュームを一杯にあげて、峠道を登っていた。11月にしては珍しく暖かい陽光を背に受けながら……。ただ、遠くで猟犬の鳴き声が多少気にはなっていたが――。
 突然
「ラジオを切ってくれぇー、山鳥が逃げるー」
 向かい側の谷から猟師にどなられた。猟犬が素早く私に近づいてきた。あわててラジオを切り、ほうほうの態で山を駆け降りた。物騒、物騒……。
 しかし、麓に降りて二度驚いた。“鳥獣保護区・広島県”と書かれた標識があり、猟師の車と思われるものがその横に駐車してあった。それに、確か、この峠道は、広島県の「自然歩道」に指定されていたはずだが……。
         *
 高田郡甲田町上甲立の田口(たぐち)から、同郡吉田町四軒屋(しけんや)へ通ずる山道の旧道がある。延長約4キロは、頂上の妻坂峠(標高約400メートル)付近で両側とも高低差約200メートルである。しかし、上甲立側の山頂付近は、かなりの勾配で、かつては交通難所であったと推察される。
 広島県によって昭和48年(1973)に「自然歩道」に指定されてからは、標識も何箇所か立てられ、幅員約1.5メートル道は下草も刈られ、わりと歩き易く整備されてはいる。
         *
 この峠の歴史は古い。
 戦国時代、天文9年(1540)の有名な尼子氏の郡山攻略戦の時、尼子軍勢が風越山(かざこえやま/吉田町)に襲来した際、甲立の五龍城(甲田町)の宍戸勢は毛利方へ味方して、郡山本陣(吉田町)の側背に当たるこの峠に陣を張り、あたかも大援軍が来たかと見せかけた計略で尼子軍を欺き、撹乱させ、毛利方の優利に大きく貢献したといわれる。その郡山は直線距離で僅か2.5キロの位置にある。
『国郡志書上帖』(上甲立村)によれば、「五龍山在城(宍戸氏)の時は、往還道(は)今時の市中(の)田口(より)妻坂峠、是より吉田村へ相通(り)」と記し、宍戸氏の時代、即ち近世期以前、郡北と吉田及び瀬戸内沿岸地方とを結ぶ主要な交通路であったことがうかがえる。


写真【吉田町四軒屋、妻坂峠へはこの道を通る】

◆次回は妻坂峠その②を紹介します。



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基本情報

名称株式会社 菁文社
フリガナ株式会社 菁文社
住所728-0023 三次市東酒屋町306-46
アクセス国道375号線三次工業団地口交差点より北へ850m
電話番号0824-62-3057
ファックス番号0824-62-5337
メールアドレスgeibigrf62-3057@seibunsha-f.com
営業時間8:30~17:30
定休日土・日曜、祝日
駐車場あり
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