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ふるさとの峠と街道 街道編 その1-②

株式会社 菁文社

本陣をつとめた家は、現在も割烹旅館として営業してる「ふるさとの峠と街道 街道編 その1-②」

本陣をつとめた家は、現在も割烹旅館として営業してる

「ふるさとの峠と街道」は、第1部 ふるさとの街道、第2部 ふるとさの峠 として2部構成でお届けします。
 第1部「ふるさとの峠」は、昭和54年(1979)5月から「げいびグラフ」誌上に“峠を語る”シリーズとして21回にわたって連載したものです。今では交通機関の多様化とこれに伴う土木技術の発達により大巾な改修がすすみ、峠は旧来の峠としての機能を失って、峠の存在すら忘れ去られています。
   このたび、あえて連載当時の記述に修正を加えることなく取材当時の内容を再掲し峠を歴史の証として伝えることにしました。



【街道編 雲石街道 ①-その1】

― 広島から三次 ―


 明治の初め、県は島根県と共同して陰陽連絡道の改修を計画し、地方税や地方有志の献地献金と国庫の補助によって実施した。
 雲石街道も、この時全面改修が行われた。工事は5年の歳月をついやして明治23年(1890)に完成、県はこれを県道に昇格させた。第二の顔の誕生である。
 従来の道は、自然条件に左右されて、平地では、自然堤防の上や、田畑を避けて山裾を通っていたため、カーブが多く、勾配も急で自由な通行をさまたげられていたが、この度の改修によって、村や町のほぼ中央を貫通する直線で、幅員も3間(5.4メートル)という、近代的な道路としての装いを一歩整えるに至ったのである。
 この道は、その後、昭和40年に至る迄約80年間にわたって陰陽を結び、芸北・備北地方を広島と結ぶ重要なルートとしての役割を果たしたのである。
 上根峠の改修は難工事の一つであったという。4回も測量をやりかえ、人夫の応援は、可部や吉田からもあおいだ。
 完成した上根旧道の最大の特色は敷石道であった。これは全長約1キロに及び、箱根峠(神奈川県)と、ここ以外になく、当時の建造としては稀に見る工法であったという。しかしそれでもカーブは37個所も残っていた。
 なお上根峠は、その後、もう一度、昭和18年(1943)の改修を経て、今日のルートに至っている。
 この県道の歴史、約80年間、実に様々な人々が、色々な目的や想いを抱いて往来したことであろう。交通機関も、荷車、馬車、人力車から乗合(客)馬車、そして自動車へと発達をした。
 昭和の初め、アララギ派の歌人中村憲吉は、郷里への帰途、上根峠を人力車で通った際に、

夕立は上根の峯のうらおもて四五里や降りし道の濡れける

と詠んでいる。
 又、広島師団野戦重砲連隊三瓶原演習の往来も、特色あるものとして人々の記憶に残っている。
 これは、明治25年(1892)、広島師団五連隊が、島根県の三瓶原を砲兵演習場に設定して以来のことである。毎年秋10月、砲兵連隊が装備のもと、三瓶原へ行軍、約一週間滞在して演習をした。隊列を整えて進む姿は壮観そのものであり、沿道の人々は、しばし仕事の手を休めてこれを見物し、砂利道にきしむ野砲車輪の音と、三瓶原から聞こえて来る筒音に、秋のくれて行くのを覚えたという。沿道の一つの風物詩でもあったのだ。
         *
夜に入っても上根峠を登って来る車は後を絶たない。一日の平均通行量約八千台、土・日はこれに倍加する。今日、国道54号線は、県下の陰陽連絡路の一般道の中で最も交通量が多い。
 昭和38年4月に一級国道54号線に昇格して以来、道路整備は急ピッチで進められた。幅員、舗装、ルートの変更、橋梁の架けかえ、トンネル、バイパス、信号機、陸橋、諸標識……etc
 そして、昭和46年(1971)3月、54号線の改修を象徴するような甲立バイパスの完成――延長1430メートル、新五龍橋、甲立トンネル、陸橋、四叉交通信号――をもって全改良を完成したのである。
 その後、平成2年(1990)、上根峠のバイパスが完成した。山腹沿いに長さ6キロ、トンネルと橋梁で広島方面へは、可部町大林ヘストレートに抜けることができる。
 峠の存在が薄くなった。しかし峠だけではない、54号線そのものが、相次ぐ高速道の開通によって、陰陽連絡という役割が次第に薄くなっている。今日、広島・三次を結ぶ路線バスは、54号線は僅かに2便、高速道経由は46便になっている。(米丸嘉一)




◆次回は雲石街道(赤名越)を紹介します。



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基本情報

名称株式会社 菁文社
フリガナ株式会社 菁文社
住所728-0023 三次市東酒屋町306-46
アクセス国道375号線三次工業団地口交差点より北へ850m
電話番号0824-62-3057
ファックス番号0824-62-5337
メールアドレスgeibigrf62-3057@seibunsha-f.com
営業時間8:30~17:30
定休日土・日曜、祝日
駐車場あり
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