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新連載:ふるさとの峠と街道 その18-②

株式会社 菁文社

「ふるさとの峠と街道」は、第1部 ふるさとの街道、第2部 ふるとさの峠 として2部構成でお届けします。
 第1部「ふるさとの峠」は、昭和54年(1979)5月から「げいびグラフ」誌上に“峠を語る”シリーズとして21回にわたって連載したものです。今では交通機関の多様化とこれに伴う土木技術の発達により大巾な改修がすすみ、峠は旧来の峠としての機能を失って、峠の存在すら忘れ去られています。
   このたび、あえて連載当時の記述に修正を加えることなく取材当時の内容を再掲し峠を歴史の証として伝えることにしました。



【草ノ峠(くさんだお/比婆郡高野町)その②】

― 幻の「荒あら鹿かノ坂」 ―


 峠歩きの魅力の一つは、昔、その峠が生活や産業の道として生きていた時代、人々は汗水出して苦労しながら峠越えをしていた。今その道を歩くことは、昔の人々の体験をたどる。即ち追体験をすることになるのだ。何を考え、何に思い、何を願いつつ歩くかによって追体験はさまざまな答えを返してくれる。頂上の景色でも良ければ、その魅力は倍増し登って来た苦労も忘れさせてくれる。
 いささか私事で恐縮だが、私の今年(昭和60年)の年賀状は、草ノ峠からの風景写真に次のような文章を添えた。
 峠はさまざまな顔を持っている。
 驚くほどの象徴性を備えている。
 歩く人の趣味や関心、思想、信条等々に
 よって、色々な答を出してくれます。
 先日「出雲風土記」に載る「荒鹿ノ坂」
 =草ノ峠に同好の者と登ってみました。
 早速、高野町の郷土史家某氏から指摘をいただいた。内容は「荒鹿坂門坂峠説」を主張するものであった。
         *
 草ノ峠が峰越林道として改修されて6年になる。最近登ってみてその荒れように驚いた。山崩れによって何カ所かは幅員が狭められ、落石によってガードレールは見るも無惨に折れまがっている。5億6千万円もかけた両町民の夢はむなしく打ちくだかれようとしていた。既に峠の頂上には通り抜け不可能の立て看板が立っている。
 峠付近に植林された桧は、積雪に耐えて今ようやく根づいたばかりのようだ。この稚木が30年~40年後に立派に生長する頃、峰越林道は用材の切り出し道として「両町の林業の発展」に寄与するべく維持されるのであろうか。
 私はふと思った。今の農林行政にそれを託して夢を持ち続けてよいのであろうかと。「荒鹿ノ坂」の所在が未だ幻であるように、草ノ峠の峰越林道も所詮、幻の峠道のように思えてしかたがない。(昭和60年7月 米丸嘉一)



写真【山肌を縫うように走る峰越林道】



◆次回は若菜ガ峠を紹介します。



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基本情報

名称株式会社 菁文社
フリガナ株式会社 菁文社
住所728-0023 三次市東酒屋町306-46
アクセス国道375号線三次工業団地口交差点より北へ850m
電話番号0824-62-3057
ファックス番号0824-62-5337
メールアドレスgeibigrf62-3057@seibunsha-f.com
営業時間8:30~17:30
定休日土・日曜、祝日
駐車場あり
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