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新連載:ふるさとの峠と街道 その11-①

株式会社 菁文社

「ふるさとの峠と街道」は、第1部 ふるさとの街道、第2部 ふるとさの峠 として2部構成でお届けします。
 第1部「ふるさとの峠」は、昭和54年(1979)5月から「げいびグラフ」誌上に“峠を語る”シリーズとして21回にわたって連載したものです。今では交通機関の多様化とこれに伴う土木技術の発達により大巾な改修がすすみ、峠は旧来の峠としての機能を失って、峠の存在すら忘れ去られています。
   このたび、あえて連載当時の記述に修正を加えることなく取材当時の内容を再掲し峠を歴史の証として伝えることにしました。



【王貫峠(おうぬきとうげ/比婆郡高野町)①】

― 後鳥羽上皇伝説の点と線―

「峠を越える」という比喩(ひゆ)がある。物事の山場が過ぎて次第に収拾、結末の方向に行くことで、山越え峠の一般的な地形から来た言葉である。
 しかし、王貫峠の南側に関するかぎり、この比喩は当てはまりにくい。和南原(わなんばら/高野町)の篠原(しのんばら)地区は、なだらかな大根畑が続き、その端にこんもりとした雑木林が国道を覆う場所がある。そこが峠の頂上部分になっている。自動車で通れば、うっかりすると峠を越えたことさえも気がつかない。
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 国道432号(竹原 ― 松江)線が、比婆郡高野町和南原で島根県仁多郡仁多町上阿井に越えるところ、ここに有名な王貫峠がある。中国山地越えの県境峠であり、古来出雲国と備後国を結んだ主要なルートの一つであった。それだけに多くの歴史や伝説をこの峠は秘めている。
 県境をさかいに仮舗装の道路が、所どころ壊れている広島県側と、側溝も整備されて本舗装の島根県側との対照的な道路を見ながら、案内してくださった郷土史家の岡村達男さん(70)は、この道路行政の違いを、いとも簡単に、大物政治家のいる島根県と、そうでない広島県の違いに結びつけられたので思わず笑った。
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『芸藩通志』に、惠蘇郡和南原の篠原にある「槙木(まき)」の木の伝説を、次のように説明している。
「この木は、昔から有名である。それは毎年10月になっても、木の葉が落ちない。それは、出雲大社へ集合される神さんが、この木でしばらく休息されているからである」
 というのである。
 峠に近いところに住んでおられる大山寛さん(67)は、我々を案内して「この辺りに槙木の老木があったのを子供心に覚えている」と峠の頂上附近の林の中で、その位置を示された。しかし、木々に覆われて薄暗く厚い落葉の中には、その跡形も見つけることは出来なかった。
 この「槙木」にちなんでか、峠は「槙木ヶ峠」ともいわれる。しかし、やっぱり後鳥羽上皇が通ったという伝説から、地元の人も今では王貫峠と呼んでいるようだ。




◆次回は王貫峠その②を紹介します。



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基本情報

名称株式会社 菁文社
フリガナ株式会社 菁文社
住所728-0023 三次市東酒屋町306-46
アクセス国道375号線三次工業団地口交差点より北へ850m
電話番号0824-62-3057
ファックス番号0824-62-5337
メールアドレスgeibigrf62-3057@seibunsha-f.com
営業時間8:30~17:30
定休日土・日曜、祝日
駐車場あり
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