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新連載:ふるさとの峠と街道 その4-2

株式会社 菁文社

「ふるさとの峠と街道」は、第1部 ふるさとの街道、第2部 ふるとさの峠 として2部構成でお届けします。
 第1部「ふるさとの峠」は、昭和54年(1979)5月から「げいびグラフ」誌上に“峠を語る”シリーズとして21回にわたって連載したものです。今では交通機関の多様化とこれに伴う土木技術の発達により大巾な改修がすすみ、峠は旧来の峠としての機能を失って、峠の存在すら忘れ去られています。
   このたび、あえて連載当時の記述に修正を加えることなく取材当時の内容を再掲し峠を歴史の証として伝えることにしました。



         【盤之谷峠(はんのやとうげ/庄原市)その②】
             ― 出雲街道の難所 ―

 大正8年(1919)頃から庄原 ― 新市間に乗合自動車(バス)が通るようになったが、これについて比和町に住む白根英之さん(69)は、
「戦後はガソリン不足で、自動車は木炭を燃料にして走っていたものです。ですから馬力がなくて、比和側の峠の砂丁場という特に急な個所までくると、バスは一度バックして振りをつけ、元気な者が後押しをしてやっと峠を登ってましたよ」と、今では笑話のような事実を語ってくれた。
 同じ頃、木炭車でこの峠を通ったという庄原の広瀬繁登さん(66)も、「車は青息吐息で登っているのに、車掌は道端のツツジを採って、走っている車に飛び乗ったりしていましたよ」と、悠長な古き良き時代を回想していた。
 昭和40年代になって峠は拡張、舗装されて車の往来は頻繁になってきた。比和側の麓のバス停で雑貨屋を営むおばあさんは「盆や祭ゆうたら臨時バスが出て、みんなこの店で酒や食料品を買ってくれたもんですがのー」と、活気のあった当時を懐かしがっていた。そして今では「あのバイパスが出来てからさっぱりですのー。これも時世だから仕方がないですよのー」と嘆息していた。現在川北町にある勝光山のマイクロバスが、帰宅途中に新聞をとりにこの店へ立寄る時が一番賑わうようである。
 多くの峠が、殆ど同じルートのまま拡張整備されて姿を変えていく中で、盤之谷峠は、かつて村人が難儀した当時のままの姿を今にとどめながら、時代の彼方に忘れ去られようとしている。時にはこの峠を訪れて、昔を懐かしんでみるのも一興ではないだろうか。
(昭和56年1月)

写真【雪の盤之谷峠、頂上付近】

◆次回は馬通峠を紹介します。



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基本情報

名称株式会社 菁文社
フリガナ株式会社 菁文社
住所728-0023 三次市東酒屋町306-46
アクセス国道375号線三次工業団地口交差点より北へ850m
電話番号0824-62-3057
ファックス番号0824-62-5337
メールアドレスgeibigrf62-3057@seibunsha-f.com
営業時間8:30~17:30
定休日土・日曜、祝日
駐車場あり
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